結局ブルーな気分からは抜けられない。
そのまま、電話で話をしていたら私の様子がおかしいと若が言いだした。
「何か言いたいことがあるんじゃないの?
何か言いたいけど言えないことがあるんじゃないの?
何か気になっていることがあるんじゃないの?
気になるから言ってよ。」

この間からずっとブルーなだけ、
いろいろ解決していない問題が山積みだから辛くなっているだけだけど、
そういうことは言いたくなかった。
それでも何があるのかどうしても聞きたいと言うので、
一昨日思いついて、今日ちょっとまとまった話をした。

彼氏はスーパーマンだと思っていた話。

男の人は傷ついたりしないと思っていた。
男の人は何を言っても平気だと思っていた。
男の人は愛があるならすべてを受け止めてくれると思っていた。
男の人はいっぱいいっぱいになったりしないと思っていた。
男の人は私の望むことくらい軽くできると思っていた。
男の人は愛する人に対してはスーパーマンになるのだと思っていた。

でも、違うということが始めてわかった。
男の人も同じ人間だったんだ。
傷ついたり、受け入れられなかったりするんだ。

わかってなかった。

そこまで本気で向き合った人がいなかった。
そこまで本気で話し合うことがなかった。
そこまで逃げずに相対した人がいなかった。

自分自身がそう思っていたことすら気がつかなかった。

だから相手の反応が理解できなかった。
どうしてできないのかわからなかった。
できないのは愛がないからだと思っていた。
 
 
「よかった。今日そういう話をしてもらってほっとしたよ。
飛龍があのままだったら、結婚してからが怖いと思ってた。
全部飛龍の考えのままに物事はすすめられて
俺は何もできなくなってしまうんじゃないかと恐れていたよ。
でも、そう思っていたということがわかって、
今までの態度の意味が分かったよ。
飛龍のそういう、人を動かそうとするところ、
飛龍の考える正しいことやこうやりたいと思ったことが
親父や周りの人にまで及ぶんじゃないかと心配していた。
神社のこととか、いろいろ言い出すんじゃないかと怖かった。
神社のことに関して言えば、親父にも不得手なところってあるし、
俺にも不得手なところがあるし、そういうところは
飛龍の目につくと思うんだよね。
だけど、それはそれぞれの個性なワケで、
個性は個性で大事なことだから、
それをいちいち正論みたいに指摘されたら困るとおもってた。
それは正しいかもしれないけど、結果的に周りの人が大変になることになる。
でも、そういう風に考えているのは彼氏に対してだけだってのを聞いて一つ安心した。
俺は昔だったら飛龍みたいな人だってわかった時点で
もう結構です、遠慮します、さようならって
してたけど、今回は結婚まで話が進んでいるから、
簡単に終わりにするわけにもいかないからね。
第一、俺は飛龍を愛しているし。
だからどうしようかと最近ずっとブルーだったよ。」

私もね。ずっとブルーだよ。
でも、そういうこと言うと負担になると思うから言えない。

「飛龍を批判すると飛龍が何も言えなくなるし、
かといって、そのまま受け入れることもできないし、
最近は俺が何も言えなくなっていたよ。」

私は何も言えなくなっていたよ。
今はさらに何も言えなくなっている。
まだ、その考え方は私に定着していないのだから
あまり調子に乗っていろいろ言わないでくれた方がいいのにな、
危険だなと思った。
 
 
 
そんな風に和やかな雰囲気だったのに、
結婚指輪の話で豹変した。

「そういう風に考えるようになっても、
依然として私のやりたいことや夢や希望はなくならないんだけどね…」
「それはそうだよ。気づいただけで、飛龍の本質が変わった訳じゃないんだから」
「その最近ホットなものが結婚指輪してくれないってことなんだけどね。

若の意見を尊重できるほど自分の中で折り合いつけられていないのに、
指輪の話題を出さなきゃよかった。。。

若も最初は穏やかに話していた。
「飛龍はなんで指輪して欲しいの?」
「指輪をしてくれているのを見ることで
私はこの人とつながっていると感じられるから。
愛が薄くなったとき、ふと指輪に気がついたら、
絆を再確認して愛が復活するかもしれない。
ただ漫然と日常を過ごしているだけじゃできないことも、
指輪を常に身につけていてくれることで再確認することができる。
そういうことが愛を続ける努力の一つじゃないのかな。」

「俺は自分の身に何か付けるのがいやなんだ。」
神社の社頭ではそういう俗っぽいものは着けたくない。
たくさん来る参拝者にもいろいろな人がいるのだから、
結婚指輪を着けることがいいという人と悪いという人がいるだろう。
不快に思うまではいかなくても、
最近の神主さんは結婚指輪をしているのね
なんて思う人はいるかもしれない。
と言う。

私は指輪を着けてくれないということがずっと悲しくて、
思い出すたびに泣いていたから、
やっぱりこのときも涙が出てきてしまった。

「泣いてるの?泣くところじゃないでしょ?
飛龍がさっき言ったみたいなことのためにして欲しいなら
仕事以外の時はするから。
仕事が終わって家に帰ってきた時にはするようにするから、
それでいいんじゃないの?
愛が薄まったときに着ければいいじゃん。」
「そんなのあり得ない。仕事の時にしていて
家に帰ったらはずすのはあるかもしれないけど、
仕事の時しないで家に帰ってきたらするなんて、
家に帰ったらいろいろ身につけているものをとって解放されたいじゃない。
それに、愛が薄まったとき指輪なんてしたいと思わないかもしれないじゃない。
仕事の時にもしてくれなきゃ意味がない。」
「どうしてわからないんだ。
俺は社頭にそういうものを持ち込むのが嫌なんだ。
そもそも指輪とかするようなのは“けっ”て思っているし、
愛を復活させるためだったら飾っておけばいいじゃないか。」

若の口調が怒ってる。気が高ぶってるのがわかった。

「もういい、もう言わなくていいから、
克服するから、理解するから、あきらめるから、
だからそんな風に怒らないで、
もういいから、もう言わないで。」
悲痛な叫び。泣きじゃくりながら私は言った。
「わかってる。神社でそういうのしない方がいいってこともわかってる。
若が着けたくないってこともわかってる。
大した理由なんてない。ただ、私が着けて欲しいと思っているだけだから。
旦那様に結婚指輪をしてもらうのが夢なだけだから。
若を説得できるような理由なんてないから。」
今日、気がついて、相手に対して思いやることができるような
下地ができたのに、
何も変わってないと言われたくなかった。
自分の夢を押しつけているだけと言われたくなかった。
 
 
 
 
 
結局また気持ちがぶるーになるだけ…

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